矯正歯科について
(不正咬合と矯正治療)3>
白い清潔な歯がきれいにならんでいることを、美と健康の象徴であると考えたことは、
古今東西に共通したもので、古くは旧約聖書にもその記載があると云われています。
本来、人の歯は11〜12才位までに乳歯が自然に抜け落ちて、
永久歯に生えかわり、きれいな歯並びが作られます。
ところがさまざまな原因で永久歯が凸凹に生えてきたり、
歯が外側(唇側)や内側(舌側)に傾いたりすると、
八重歯や出っ歯や受け口などのいわゆる不正咬合になってしまいます。
この不正咬合を治療してきれいな歯並びにすることを矯正治療と云います。
ドラキュラの歯の発想や親密さを表現するキス(kissing)の習慣のある欧米では、
顔やスタイル以上に相手の歯並びに関心が高いようです。
では何故この矯正治療をすることが必要なのでしょうか?
1.ムシ歯や歯槽膿漏(しそうのうろう)や口臭の発生に影響することがあるたとえ不正咬合があっても徹底的に歯を磨いて
しかし歯が凸凹していれば磨き残した部分ができて、
また食事の際の食物による歯面の摩擦やダ液による自浄作用が受けにくくなり、
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2.物を噛む力に影響することがあるお口の大切な機能に噛みしめたり・咬み切ったり・正しく飲み込んだりすることがあげられます。 上下の歯を噛み合わせて、その接触した面積が多い程よく噛めるわけですが、
ナイフやフォークを使ってお肉を食べることはできますが、
お母様はこれらの食べ物を子供が嫌いな物で、食べるのが遅いと思っていたのですが、
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3.発音に影響することがある歯・舌・歯肉・唇・上あごなどは発音に重要な役割を果たします。
多少の不正咬合ではすぐさま発音障害につながるというものではなく、
しかし、奥歯を噛み合わせた時、上下の前歯の間に著しい空隙があると、
声楽を勉強している音大生が留学予定先のイタリアの先生に挨拶に行った時、
演劇や声楽やアナウンサー等の発音が重要な職業にとって、歯並びはとても大切です。 |
4.外傷にかかりやすい場合がある子供は皆元気で活発です。学校の運動場で走り回ったり、
でも夢中になりすぎて転倒したり、お友達にぶつかったりする場合があります。 その際、出っ歯や八重歯だと自分のお口の中を切ったり、歯が欠けたりするばかりではなく、
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5.顎や顔の成長、発育に影響する場合がある上下の顎(あご)の発育はそれぞれ個人の成長パターンがあり、歯との影響はないと云われています。 しかし、乳歯や小学校低学年で前歯が反対に噛んでいたり、
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6.顎関節の障害をおこすことがある一般的に男子は中学に入って、女子は小学校高学年でいわゆる思春期の成長がみられます。 この時期と同じように顎の発育も盛んになり、一時的に顎の関節の違和感や軽度の痛みを伴うことがあります。 ほとんどの場合はしばらくして自然に治りますが、不正咬合の種類によっては顎関節の治療が必要な場合があります。 成人の場合も不正咬合が原因で顎関節症を引き起こす場合があります。 |
7.心理的な影響を与えることがある現在の社会において、他人よりも精神的にも肉体的にも経済的にも優位に立ちたい、子供をそうさせたい、という要求はますます強くなっているようです。 肉体的な問題にしても単に健康でありたいという要求だけでなく、すぐれた体力や容姿をもちたいという要求もあるようです。 これらの要求が満たされないと、いわゆる欲求不満となり、個々の性格形成に影響したり、まれには攻撃的な行動が生じることもあります。 歯並びが悪いということが噛みにくい、発音しにくいということだけではなく、心理的な劣等感となる場合もあると云われています。 一見無邪気な世界と思われがちな子供の社会でも、先生や親の知らない世界で単なる歯並びが残酷な批判の対象になることもあるようです。 これらのことはあくまでも一例であり、直接的に結びつけられないことですが、矯正治療の終了後性格が明るくなり、よく笑うようになった患者さんがいました。 服装も明るい色を着て来院するようになりました。
一生自分の歯で食べることができるように、
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